開催趣旨

1980年代、高い品質を武器に世界的な競争力を高めつつあった日本の製造業では、若いエキスパートを中心としたクロスファンクショナルなチームを作ることで、次世代に向けたイノベーションを育む取り組みがありました。その特徴的なプロセスは、野中郁次郎氏、竹内弘高氏というふたりの学者による論文で世界に『スクラム』と紹介されました。

1990年代、米国のジェフ・サザーランド博士とケン・シュエイバー氏によって、近代的なソフトウェア開発フレームワークが創られました。それは、前述の論文にあるチームやタイムボックスの文化に注目したもので、『スクラム』と名付けられました。彼らは、様々なソフトウェア開発において『スクラム』 を適用してきました。そして『スクラム』 は欧米で最も普及したソフトウェア開発の手法になり、アマゾン、ヤフー、マイクロソフト、グーグル、セールスフォースといった多くのイノベーティブな企業の開発プロセスとして採用されています。 80年代の日本の製造業から生まれた『スクラム』という言葉は、海を越え、ソフトウェア開発の世界で脈々と受け継がれてきたのです。

日本におけるスクラムの実践は、2010年ごろからコンピュータ誌にも取り上げられるようになり、2011年には大手企業での実践例や社内全体への適用の話題が聞かれるようになりました。また、野中氏やサザーランド博士が登壇したイノベーションスプリント2011に始まり、アジャイルジャパンなど、経営層にアピールするイベントは盛況のうちに終わりました。このように、開発の現場だけでなく、それをサポートする管理層や経営層の間でも徐々に認知度を上げています。

しかし、この状況は喜んでばかりもいられません。急速な知名度の浸透に、日本国内のスクラムコーチの数は追いつくことはできず、参考となる書籍の数も十分でないため、効果的なスクラム実践の普及が阻害されつつあると推測されます。一方、海外に目を向ければ、世界的にアジャイル/スクラムの採用はクリティカルマスを越えて一般的になっています。欧米のみならず、日本を除くアジア各国での適用の動きは、日本とは比べ物にならないくらい早いのです。

これはスクラム適用のみならず、日本のソフトウェア産業、ひいては企業活動とITが密接となっている今日の産業界全体にとって、大きな危機を迎えているのではないだろうか、と危惧しています。そこで、日本におけるスクラムの知恵を集め、また、国際的なイベントである、Scrum Gathering を東京に誘致することで、国内的にも国際的にも価値のあるイベントができるのではないか、と考えています。

Scrum Gathering Tokyo 2014 実行委員会

プロダクトオーナー
永瀬 美穂(アジャイルコンサルタント, 産業技術大学院大学特任准教授)
チーム
関 満徳(グロースエクスパートナーズ株式会社)
原田 騎郎(株式会社アトラクタ)
木村 卓央(株式会社アットウェア)
川口 恭伸(楽天株式会社)
他2名

TicketLink


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mike csm

mike csm

jutta

主催

Scrum Gathering Tokyo 2014 実行委員会

共催

株式会社翔泳社